秋葉原通り魔事件の自暴自棄

秋葉原通り魔事件の自暴自棄

平成(1989年1月8日~)の殺傷事件には、昭和にはない新しいタイプが含まれています。

その一つに、「動機不明の無差別殺人」があります。

「秋葉原無差別殺傷事件」の加藤被告は、「むしゃくしゃして」、犯行に及びました。

しかし、普通であれば、このような苛立ちは合法的な方法で発散されるべきものであり、現に殆どの人が、ストレス発散の意味で趣味に高じています。

ですから、「腹が立った」くらいで無差別殺傷事件を起こすとは、到底考えにくいのです。

特に加藤被告の場合、犯行当時に薬物による幻覚を見ていたわけでもなく、興奮はしていたものの、理性で物事を処理できる状態にあったと思われます。

昭和の時代には、このような感情論で犯罪が起きることはなく、犯行動機は「怨恨」「政治思想」というように明確になっているケースが殆どでした。

ですから、取り調べる側からすると、これ以上動機を追及することができず、もやもやした気持ちの中で、事件を収束させなくてはなりません。

感情論で何人でも殺すことが可能、というのは、新しい概念です。

このような場合、「カッとなって殺した」という衝動的殺人とも違い、犯人は犯行予告までしており、むしゃくしゃを緻密な計算のもとで、残虐な形で発散していることになります。

このような「自暴自棄的無差別殺人」は、新たな犯罪の形として、私たちの日常を脅かしています。

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