婚活詐欺・殺人事件の被告手記の分析

婚活詐欺・殺人事件の被告手記の分析 -1-

木嶋被告は、朝日新聞に手記を掲載しました。

その内容を見ると、驚くことが幾つもあります。

筆者は活字になっているものを読んだだけですが、「朝日新聞オンライン」によると、手記は一万字以上にもなるのですが、誤字脱字は全くなく、また非常に達筆であったということです。

また、オンラインで手記を読むと、難しい言葉をいとも簡単に使いこなしており、そこには、しっかりと教育を受けてきた姿が窺われます。

さて、問題の内容についてですが、精神科医などの専門家がこれまでに様々な角度で分析を行ってきました。

ある精神科医は、「被告は悪に立ち向かう聖女になりきっている」と言っています。

そして実際に、自分を聖女に見立てた書き方がされている点を、幾つも発見することができます。

手記より。

「長年無意識に自分が蓋をしていた感情と向き合い、検証し、さらけ出すことは、勇気も努力も必要でした。(中省略)
心奥の暗闇に潜り、自分の悪の根源、歪んだ価値観、狂気を孕んだ不健全な魂を直視したことで、初めて自分自身を理解し、受け入れることができたのだと思います。」

このほかにも、気持ちを落ち着けるために、瞑想やヨーガをやっている、とも書いてありました。

主に宗教で用いられる言葉を手記に織り交ぜているのは、自分を「聖女」として捉え、聖女であるという妄想と現実の境目が曖昧になっていることの表れなのかもしれません。

婚活詐欺・殺人事件の被告手記の分析 -2-

木嶋被告の手記を読むと、そこには、勇敢に悪と戦う自分の姿を世の中に知らしめたい、という意図が、はっきりと見て取れます。

その一方で、状況証拠から推測される人物像や、裁判員たちが被告の前で見聞きした内容に触れると、その手記の内容が、全く現実味を帯びてこないのです。

例えば、被告は手記の中で、「インターネットの普及と個人情報保護法の影響で、人間関係が希薄になり、人と深く繋がることを苦手とし、真に成熟した大人が少ない世の中になっているようです」と書いています。

つまり、ネットで起こっていることを客観視していて自分とは無関係である、というような書き方をしているのです。

このように、被告に該当すると思われる事柄が終始、客観的立場を貫くようにして書かれています。

「人間関係が希薄になる」傾向も、自分には関係がないというわけです。

しかし言うまでもなく、これは被告本人に当てはまることです。

被告は、「婚活サイト」というネットワークで、自分を偽り、男性と交友関係を結ぶきっかけを作っていました。

そして、ネットで知り合った男性との関係以外、特に親しかった女友達がいたということもなく、被告こそが、まさに「人と深く繋がることを苦手とした人間」であったことを物語っています。

このような点は、裁判内容の真偽に問わず、彼女の内と外にある矛盾を大きく浮き彫りにしているように思います。

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