婚活詐欺・殺人事件の天性の人格障害
木嶋被告の価値観は常人の域を逸脱していて、私たちの共通認識で解釈することは不可能です。
木嶋被告は、1974年に行政書士の父とピアノ講師の母の元で、北海道で生まれました。
地元では「名士」の中に入る家柄です。
詐欺行為で自分の経歴を詐称していましたが、「育ちのいいお嬢さん」であったことは、事実のようです。
しかし、東京のセレブに憧れ（木嶋は叶姉妹に憧れていた）、何もしなくてもお金があるのが当然、という妄想に取りつかれ、常識からどんどん思考がずれていき、最後には金銭目的の殺人をも厭わない人格に変貌したのです。
木嶋被告には、明らかに「妄想性人格障害」「演技性人格障害」や「自己愛性人格障害」といった「人格障害」（又は「パーソナリティ障害」）の諸症状が多く見られます。
「妄想性人格障害」は、カルト宗教教祖によくある人格で、妄想の上に自分が成り立っているので、妄想自体を自分で事実だと信じ込んでいます。
また、木嶋の証言を聞いた多くの人が思い、また手記などを分析したところによれば、彼女は自分自身を根拠もなく「特別な人」「位の高い人間」と信じて疑っていないようです。
妄想上の自分を本当の自分だと信じている限り、嘘の綻びが出ることはありません。
ですから、このような人格をもって犯行に及んだ場合、物的証拠がない限り、事件として成立させること自体、非常に難しいのでしょう。
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